タラの芽の栽培記録

タラの芽は山菜の王様といわれ、とても美味ですが、昔と違って規制が厳しくなり、誰でも気軽に山に入って採れるという状況ではなくなってきているのではないでしょうか。個人の山に生えているものなどを採取すれば、泥棒扱いされても仕方ありません。ですが、自分で栽培したものなら、この限りではありません。また育てる楽しみもあります。
一方、タラの芽を育てる際には、種子が近隣に散ってしまうことや、また、一度根付いてしまえば、完全に除去することが難しいなど、様々な問題もあります。このページではタラノキの種根を採取して、実際に収穫するまでの過程を日記風にして掲載しています。これからタラの芽を栽培しようとする人の参考になれば幸いです。

参考サイト:タラノメ栽培
読んだ書籍:タラノメ―ふかし栽培と調製・販売の実際 (新特産シリーズ)

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目次
親木から種根の採取
種根からの発芽
ポット育苗
畑への植え付け
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親木から種根の採取

ホームセンターの園芸コーナーの片隅にあった、タラノキの苗木を母が購入したのが始まりです。

ラベル

後で聞いてみましたが、品種は駒みどりということでした。

父と一緒に畑の土手に植えて1年半、何も世話をしなかったのですが、大分大きくなっていました。

親木

普通は、1,2年生のタラノキを掘り起こして、種根を採取するようですが、少しでよかったので、根本を少し掘って、他の根を傷つけないようにして30cmほどの種根を採取しました。(2016/02/16)

※ 種根の採取は、時期がとても大切です。一般的には2月~3月が適しているようです。

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種根からの発芽

2016/02/16 0日目
タラノキの種根

空き缶をよく洗ってから、湿らせた新聞紙を、厚さ1cmくらいに敷きその上に、4cm~8cmに切った種根を並べました。

※ 新聞紙はなかなか水が染み込まないので、何枚かに分けて、水にしばらく浸しておくのがいいと思います。
※ 種根採取の際には、印を付けるなどして種根の表裏(背、腹)を確認しておき、表を上にして置くと、脇から芽が出ることが少なく、また比較的早く芽が出るように思います。
※ 種根を掘り出す際には、種根に傷を付けないように注意することが重要です。余計な傷がつくとそこから腐りやすくなるようです。
※ 写真の右側の4本は、後で分かりましたが、別の植物の根でした。

電気毛布で缶を覆ったところ

短期間で発芽させるため、電気毛布で缶を覆って、缶内を24度ほどに調節して、種根の発芽を試みました。

※ 24度の根拠はありません。自然では4,5月頃に発芽することを考えると、発芽には、20度くらいが、一番いい温度なのかもしれません。そのため、8日目以降は20度で調整しています。

2016/02/17 1日目
種根があまりにも乾燥しているようだったので、霧吹きで水をかける。

2016/02/18 2日目
樹液で新聞紙が汚れていたので、上の4枚ほど取り除く。種根に変化はなし。

2016/02/19 3日目
白っぽい突起を確認

白っぽい、芽らしきものが見えてきました。

乾燥した種根

乾燥していたので霧吹きで湿らせました。

2016/02/20 4日目
温度計にカビが生えていたので、取り除きました。種根の裏側が湿って、腐りそうだったので、裏返しました。

※ 腐らせないため、霧吹きで湿らせるのも程々にしておいたほうがいいと思います。

2016/02/21 5日目
種根の樹液が出ていたところにカビが生えていたので拭き取りました。3枚ほど新聞紙を取り、床替えしました。

2016/02/24 8日目
細い根のようなものを確認。種根の端に白いカビが生えているが、腐る様子もないので、そのままにしておくことに。

2016/02/26 10日目
芽のような突起

やっと芽らしき突起が盛り上がってきた。表面があまりにもカラカラだったので、霧吹きで湿らせ、新聞紙も乾いてきていたので、少し水で濡らせる。(空気穴は一つ、キリで穴を開けています。)

2016/02/28 12日目
芽のような突起

少しずつ芽のようなものが盛り上がってきた。しかし、加温しているにもかかわらず、これほど成長が遅いとは。。

2016/03/01 14日目
発芽

やっと発芽?した様子。

2016/03/02 15日目
発芽後の徒長
発芽後の徒長

発芽した後の成長は速い。

2016/03/03 16日目

2016/03/04 17日目

日々成長が確認できます。

2016/03/06 19日目

2016/03/08 21日目

一番長い芽で8mmほどに。

細い種根にも芽がでました。
よく見ると、黒っぽくなったところは、おそらく掘り出すときに傷を付けてしまった所。掘り起こす際には細心の注意を払う必要があります。

2016/03/10 22日目

一番長い芽でちょうど1cmに。今日は曇なので、明日鉢植えすることに。

※ 天側の方が芽が出やすい印象があります。

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ポット育苗

2016/03/11 23日目

さらに伸びていました。


2つ芽が出た種根は2つに切って成長をみることに。


写真のように植えました。
2cmの厚さを残してポットに土を充填して、十分に水をかけ、そこに種根をおきました。覆土した後は、あまり湿らせないほうがいいような気がしたので、水はかけていません。天地がわかっているものは、地を少し下にして、少し角度を付けて植えました。


市販の培養土x4(左側の4つ)、あまっていた園芸用の腐葉土に赤玉を混ぜたものx3(右上側の3つ)、畑の土に堆肥を混ぜたものx2(右下の2つ)、以上の3種類の土で成長の差を見ることに。

※ 別の植物の根も一応2本ずつ植えてみました。(写真左下と、真ん中列の右側)


一応、ラップで蓋を作ってみました。


寒かったので、部屋の中に置き、下に電気毛布を敷いてしばらく様子を見ることに。


まだ発芽していない種根2つは、もう少したってから植えることに。

2016/03/12 24日目

電気毛布を下に敷いた場合は、約20度で安定。


残りの種根も鉢植え。2つ芽が出ていた方は一つを爪で掻きとりました。

2016/03/17 29日目


5日後、やっと芽が出ました。なんと、一番細い種根と、小さく切った種根からでした。一番よく成長しそうだった、畑の土に植えた種根の芽はまだ出ていません。
1日か2日に一回、霧吹きで湿らせています。夜は18~20度、昼は20~25度くらいを保つようにして調整しています。

2016/03/20 32日目

※ 室内撮影のため、逆側から撮影しています。



芽の伸びは早いですが、細いです。この2つ以外はまだ芽は出ていません。

2016/03/23 35日目

大分大きくなってきました。他2つの芽を確認。



・土の種類が違うせいかもしれませんが、成長にばらつきがあります。
・室内で管理しており、温度は昼間30度前後、夜18~20度でした。
・大分乾いていたので、はじめて水やり。

2016/03/25 37日目



もう一つ芽を確認し、残り二つに。苗はあまり高強度の光に当てない方が良さそうな気がしたので、まだ、室内で管理しています。

2016/03/26 38日目
屋外にだし、十分水をやる。出してみると、屋外のほうがいいような気がしてくる。風があり、そのため気温も室内に比べて低くなる点がいい。屋外に出し、少し遮光して、朝水やり、昼ころ霧吹きで葉を湿らせるのがベストなのかもしれない。夜は室内に戻す。

2016/03/27 39日目





昨日屋外に出して、若干成長がよくなったような気がする。葉質が変わったような感じ。今日は朝から屋外に出すことに。昼から雨。中の温度は16~18度。

2016/03/31 43日目

※ 撮影方向を元に戻しています。






外に出してから、とても成長がいいように思う。葉が大きくなってきた。

2016/04/05 48日目







・ようやくすべての芽が出揃う。
・ここ数日雨が続いたが成長はいい。でも、やはり成長にばらつきがある。
・他の植物?の根を取り出して見てみたが、やはり芽は出ていなかった。
・暖かくなってきたので、外に出して管理することに。

親木の方も無事に生育していました。

2016/04/11 54日目

※ ポットの配置は2016/03/11の種根を植えたときと同じにしています。

・ここの所曇りが続いた。葉に多少斑入りがあるよう。親木でも同じようになるので、遺伝なのだろうか。

2016/04/15 58日目

・雨風が続いたが、それほど葉は傷んではいないよう。ここ1週間ほどまともに水やりをしていなかったので水やり。葉が重ならないように少し間を開けた。

2016/04/20 63日目

・苗にとっては、日中はやはり日差しが強すぎるように感じる。すぐに緑化?しているよう。

2016/04/29 72日目

・とても茂ってきた。明日植え付けることに。
・畑の土と堆肥を混ぜたものでは、成長がほとんど見られない。堆肥がいけなかったのだろうか。

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畑への植え付け

2016/04/30 73日目

上から見た苗。


種根が一番太くて長かったものです。
やはり、一番立派な苗になりました。


二番めに生育がよかったのは、なんと、小さく切って植えた種根でした。


三番目に生育が良かったのは4cmくらいの長さの種根です。


一番芽が出るのが遅かった種根も、一応生育しました。


直径3mmもないような細い種根でしたが、ここまで生育しました。


芽の徒長が一番よかった種根ですが、やはり、畑の土に堆肥を混ぜたのがいけなかったのでしょうか、ほとんど生育は見られませんでした。


種根としては普通でしたが、同じく、生育はほとんどみられませんでした。

やはり、培養土で育てた種根が一番生育が良かったように思われますが、数が少ないのでなんとも言えません。

いよいよ植え付けです。

畑の土手の下草を刈ってから、ポットに十分水をやり、植える位置を決めます。
(通るとき邪魔にならないよう、土手の上より少し下に植えました。)

※ タラノキは陽樹なので、なるべく日当たりの良い所に植えてあげましょう。

よく根がはっていました。

まず、スコップで穴を開けます。

余っていた完熟堆肥を入れ。

その上に土を少しかぶせます。

苗を置き。

周りを土で埋め固めて、雑草と間違われないよう、目印を付けました。

水をたっぷりあげて終了です。

手前から、生育が良かった順に植えています。

2016/05/08 81日目

1週間ほど経過しましたが、あまり生育していません。新しい環境に慣れるまで時間が必要のようです。

2016/05/15 88日目

2週間ほどたちましたが、段々と成長速度が元に戻ってきたようです。


3番目に生育が良かった苗は、なんと葉が虫に切られてしまっていました。。


細い種根から生育した苗は、2株になっていました。


畑の土で育った苗は、植え替えてもやはり生育は見られません。

※ 植え付けてからも、晴れた日は毎日水をやっています。

2016/05/31 104日目

雑草の伸びが早いです。


残念ながら、ほとんど葉が切られてしまいました。

※ その後、夜に見てみると、ナメクジがたくさんおり、葉や茎にもすがっていたので、茎を切ったのはナメクジの可能性が大きいです。
※ モグラがいるのか、土が空洞化しており、何度か土を追加しています。
※ 畑の土の苗はその後、2つとも枯れてしまいました。

2016/06/13 117日目

新芽がでても虫に切られてしまうという感じです。

※ 木酢液を試してみましたが、多少効果はあったようです。

2016/07/11 145日目

しばらく見ないうちに雑草がかなり生えていました。
(この後除草しています。植え付けて、2回位は雑草を取らないと育たないと思いました。)

2016/07/25 159日目

なんとか育ってくれてます。
2株になったのは、どちらかが枯れて一株になっていました。

2016/10/08 235日目

タラノキにとっては結構劣悪な環境だったかもしれませんが、なんとかここまで育ってくれました。
2番目に生育がいいのが、3mmにも満たなかった種根です。

2016/11/15 273日目

一時はナメクジ?に葉を切られ、全滅かと思いましたが、なんとか、残った5本とも無事に育ってくれました。

2017/04/16 約1年2ヶ月後

種根を植えて1年ちょっと経過しました。
都合により、成長過程を撮影できませんでしたが、無事に芽を収穫することができました。
(家族が収穫したようです。)

2017/05/15 約1年3ヶ月後

その後、2回ほど収穫しました。
本来は、2回ほど収穫したら、根本から数十センチの高さで切り落とすのですが、自然がいいと思ったので、そのままにしています。


脇芽?も一本でていました。

2017/05/29 約1年3ヶ月後


葉も大分太くなり、ナメクジ?に切られることもなくなりました。
今年は去年より生育してくれると思います。

今後、進展があれば更新する予定です。

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コメント

  1. 宮古そば権三郎 関口 より:

    大変解りやすく、参考になりました。
    私は只、山から取ってきて適当に植えていたのですが、種根から栽培してみたいと思います。

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